皆さんこんにちは。本日は法定相続情報一覧図についてお話します。これから相続手続きをされる方には作成することを強くおすすめいたします。
法定相続情報一覧図とは
法定相続情報一覧図とは家系図のような表であり、被相続人(亡くなった方)とその相続人が一覧となって記載されています。以下のような書類です。
緑がかったA4の紙に法務局の公印が押されており、被相続人と相続人は記載の内容で間違いがないということが承認されている書類です。発行手数料は何枚作成しても無料であり、追加の請求も可能です。
作成するためには書類を集めて法務局に申請する必要があります。必要な書類は以下の通りです。
被相続人の戸籍謄本:
- 被相続人が生まれてから亡くなるまでの全ての戸籍(除籍・改製原戸籍)謄本
被相続人の住民票の除票:
- 被相続人の最終の住所を確認するための書類
相続人全員の戸籍謄本:
相続人全員の現在の戸籍謄本(相続関係を証明するため)
申出人の本人確認書類:
- 運転免許証、マイナンバーカードなど
※必要に応じて、住民票等が必要になります。
書類の準備が出来たら管轄の法務局に申請します。管轄の法務局は以下から選べるので、最も便利なところを選べます。
・被相続人の死亡時の本籍地
・被相続人の最後の住所地
・申出人の住所地
・被相続人名義の不動産の所在地
申請後数日から1週間程度で法務局の認証印を押した法定相続情報一覧図を交付してくれます。
作ると何が便利なのか
相続が開始されると、預貯金口座の解約、不動産の名義の変更、自動車の名義変更、相続税申告、株式、投資信託の名義変更など様々な手続きが発生します。その相続手続きの際に必ず必要となるのが、被相続人が生まれてから亡くなるまでの戸籍謄本です。戸籍謄本は本籍地の自治体に請求する必要があり、転居等を繰り返している方の場合は、複数の自治体に請求することもあります。また兄弟が多くいる方や、代襲相続により法定相続人が増えてしまった方も戸籍の枚数が多くなります。その結果束になってしまった戸籍謄本を、相続手続きをするためにそれぞれの機関に持参する必要がでてきます。法定相続情報一覧図を作成すると、それが戸籍の束の代わりになる為、束をわざわざ持参する必要がなくなります。
またその機関の担当者は持参された戸籍の束をしっかりと確認して相続人に間違いがないのかを確認する必要があります。私は過去に金融機関に勤務していた経験があり、預貯金の相続手続きも多く携わってきました。その際に特に時間を要するのが戸籍の確認でした。特に古い様式の戸籍については、手書きで内容が書かれていてそれを識別するのも一苦労だったことを覚えています。担当者が確認した後に、預金担当管理職の確認し、場合によっては本部の確認を取らなければいけないこともあります。また相続手続きの場合は、一度に多くの口座の解約、名義変更手続きをすることになる為、当日の営業時間中には処理を終えることが出来ず、職員は残業し、お客様には後日計算書類を取りに来てもらうということもよくありました。当時は突然来店し「相続手続きをしたい」というお客様が来たときは「今日は何時に帰れるかな…」なんて思っていました。特にお盆休みや、年末年始になると普段銀行に行きたくても仕事の都合でいけない方が来店されるので、その際に相続の手続きをよく受けていた記憶があります。
その様な事情がある為、被相続人、相続人について法務局より認証を受けた法定相続情報一覧図を持参されると、担当者による戸籍の確認の必要がなくなる為、結果的に手続きのスピードが速くなります。私も先日相続手続きの為に役所に伺いましたが、法定相続情報一覧図を出したときに担当者がニヤリとしていたのが印象的でした。
まとめ
今回は法定相続情報一覧図についてお話させていただきました。作成にあたり、どうしても戸籍を一度収集する必要がるので、そこは少し面倒かも知れませんが、相続手続きに際し、不動産登記、銀行口座解約など複数の手続き先がある方には手続きの簡略化が図れるためかなりメリットのある制度だと思います。作り方は以下の法務局のリンクに記載してあります。私のような専門家に依頼することも可能ですので、書き方に迷ったときは是非ご相談ください。
参照:法務局「法定相続情報証明制度の具体的な手続きについて」
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